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生命の音楽室付属倉庫

「生命の音楽室」 http://musicroomoflife.okoshi-yasu.com/ の広報担当、音原低二のブログです。 たまりにたまった余分知識の掃き捨て場として、「倉庫」とさせていただきました。

バリトンサックス

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バリトンサックス

音原です。
※この記事内では、音高を示すとき、ピアノ鍵盤の中央のドをC4とした相対値を用いています。

私の楽器暦は
・バリトンサックス3年
・チューバ6年
他にも少しずつ、です。

バリトンサックスをやっていたのは高校のころでした。
私のいた高校は、AJBAの吹奏楽コンクールで支部に行けるかどうか、というところでした(実際に、在学中に2回行っています)。コンクールのあり方についてはどうあれ、おおよそのレベルはわかっていただけるかと
というところで、やる曲も難易度がどうこう言われますね。
私のところは、割と難易度が高めの曲に突っ込んでいるところがありますね。
高校のころにやった曲で思い入れのある曲は、「Variations on a Hymn by Louis Bourgeois」(Claude Thomas Smith)です。後期入試が終わって2週間後に定期演奏会があり、そこでやりました。あの連符を2週間で仕上げた、ということでネタにしていることがよくあります(完成度はともかく)。

さて、バリトンサックスですが、実はバリトンサックスを吹いたころは「ちゃんと役割を果たせていてなおかつ楽しい」という曲に出会えたことがありませんでした。
私が未熟、といえばそれまでですが、もうバスクラとのユニゾンを一曲続けるのは勘弁してほしいです。
私が高3のときやった課題曲は「エンターテインメント・マーチ」(あ、年がばれる)でした。曲としては楽しく、かといってそこまで技術的難易度は高くない、という課題曲でしたが、難点が。

Q. エンターテインメント・マーチにおけるバスクラリネット譜とバリトンサックス譜の差を述べよ。
A. 以下の通り。
・音がオクターブ違う箇所が3箇所ある。
・バリトンサックスはバスクラリネットより16小節休みが多い。

個人購入したスコアを確認直しました。あれ、バリトンサックスにOptionついて…ませんでした。幸いにも。
他の曲を調べてみようか。ついでなのでその年の朝日作曲賞「勇者のマズルカ」でも

見てきました。セクションごとに動くところの数だけ違いました。
が、ファゴットの音低くないですか?最低音は出てなくともわりと低目じゃないですかね。
しかもバスクラリネットとほとんど譜面が変わらない(音域の都合でオクターブ違うくらい)。
ついでに一緒に持ってきた2016年の「マーチ・スカイブルー・ドリーム」も見てみましょう。

一通り見てきました。バリトンサックスとファゴットが完全なユニゾン。そしてバスクラリネットは最後の方の4小節だけオクターブ高い(ここはバリトンサックスが最低音C1、バスクラリネットの該当音はロング管でないと出せない)。ついでに下のほうにちょくちょく目をやったらチューバもコントラバスも同じ音を演奏していることが多い。さすがにこれはどうなんでしょう

はい。これが低音楽器の譜面の現状です。あちらを立てればこちらが立たず、ではないですが、ほとんどユニゾンになっている曲が多いです。
曲によってはすごく出しづらい音をpで演奏することになる曲もありました(マーチ・スカイブルー・ドリームの第二マーチのmpのところ。mpといえどもバリトンサックスでE1やD1を当てるのは楽器を始めて数ヶ月の奏者には過酷。少なくとも当時の私には無理)。

「これ課題曲の現状やん」という人に追加情報。なんと自由曲もこのような曲が多いです!
ささやかながら5度を所々取っていてほかはユニゾン、木低の差は休み小節の差しかない、という譜面を何度見たことやら

このような譜面、私には何の楽しさも分かりません。何が楽しくてバリトンサックスをやっていたのやら…
私がちゃんと吹けていなかったころにやった「Danza Sinfonica」は楽しい譜面だったと記憶しています(吹けていなかったので楽しめたとはいえませんが)。
「チューバとユニゾンすることに意味がある」?何度も聞きました。コントラバスは音色に幅が出せるのでまだ分かります(さすがにずっとユニゾンしかないのはどうかと思いますが)。バスクラリネットやバストロンボーンは音の核を作る、ファゴットは音の出だしをはっきりさせる力があると思います(こちらもユニゾンしかないのはさすがにどうかと思います)。
じゃあ、バリトンサックスは?

私は、バスクラリネットやバストロンボーンと大体同じ、音の核を作ることだと思います。ただ、上記の楽器も含め、それだけの役割でいいのでしょうか?
全員を満足させることは難しいです。それでも、あと少しの工夫で、「とりあえず編成に入っていたから一応書きました」というパート譜を防げます。
「私の楽器も音域ぐちゃぐちゃだからおあいこ」?演奏会全曲上記のような扱いになってから言ってください。私は何度も経験しました。

作曲者の皆さん、「困ったときは適当」じゃなくて、歴史に学んでください。
個人的お勧めは「First Suite for Military Band」(Gustav Holst)、「Second Suite for Military Band」です。技術的には少々難しいところがあるものの、楽器の役割がすごくよくわかります。

作曲者としての私は、一部のオンガクを作るという曲を除いては、各楽器の役割を考えて作曲しています。「Celebration Overture for Band」と「吹奏楽のための序曲『明日を夢見て』」です。
Celebration~は、低音アンサンブルからの編曲ということもあり、低音が中心となってはいますが、全体的に原曲を壊さず、演奏しやすく、聴きやすくを主軸において作曲しました。音源はこちらです。
https://soundcloud.com/teijiotohara/celebration-overture-for-band
明日~は、Celebration~よりも難易度を高めに、かつ各楽器を考えて、というコンセプトで作曲しています。こちらも聴きやすい作品になっています。音源はこちらです。
https://soundcloud.com/teijiotohara/dream_for_tomorrow

途中からいろいろ話がそれていきましたが、ともかく、バリトンサックスなど低音楽器を有効に使ってほしいという話でした。
個人的に、バリトンサックスは吹奏楽での扱いが難しい楽器No.1だと思いますが、作曲者の皆さん、よろしくお願いします。
それから、「とりあえず編成に入っていたから一応書きました」にする場合は「Option」の文字を忘れずにお願いします。

P.S.今までやったことのある曲の中でバリトンサックスの役割が最も果たせたと思う曲は「翠風の光」(長生淳)です。バリトンサックスに限らず全楽器が輝いていると思います。楽譜がレンタルなのでスコアのみでも入手困難ですが…なぜ日本では「演奏に使わないフルスコア及びコンデンススコアのみの購入」がなかなか出来ないのでしょうか。
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